リボ払いの恐ろしさとは?
リボ払いの恐ろしさとは、元金がなかなか減らないということですね。
借りたお金はほとんど返済できないまま、利息だけを払い続けるというシステムで、つまり、リボ払いをした時点で借金が膨らんでいきます。どんどん、面白いほど。
私が債務整理を決意したきっかけの一つは、リボ払いの恐ろしさに気づいたことです。
何しろ、以前のようにお金は入ってこない、なのに仕事は忙しい。多忙で時間はないのに支払いに追われ、あまり考える余裕すらないという最悪なとき、
「少しでも毎月の支払いに余裕が出るなら」
と利用したのがリボ払いにはまったきっかけでした。
クレジットカードの支払いは、それまで毎月一括払いでした。携帯代、インターネット使用料、その他服代などの引き落としに利用していて、大体毎月の利用は8万円前後。お金がないからカード払いにしていたわけではなく、現金をあまり持ち歩かないで済むことと、支払い日をまとめたかったのが理由。なので、負担になる額ではありませんでした。
ところが、生活が一変し、上述した理由で8万円の支払いが困難になったわけです。何しろ、リボ払いにしたら月々数千円〜1万円程度の支払いで済むんですから、それはもう楽になりますよね。もちろん、服はほぼ買わなくなりましたが、通信費という固定費は残ります。自分の中ではリボ払いにしたことで、それで乗り切れる気になってしまったわけです。
あるとき、返済全体の見直しをしていて愕然としました。もう随分長い間支払っているのに、明細の元金はあまり変わっていません。もちろん、通信費という毎月発生している固定費はありますが、それ以前のショッピング利用が思ったほど減っていないわけです。
あらためて明細を見直し、利息分をざっと計算してもたところ、自分が払い続けてきた大半が利息であることに気づきました。リボ払いって本当に怖いです。利息を生むシステムが作られてしまうわけですからね。元金が返せないと、いつまでも利息だけ取られてしまう。リボ払いは絶対に利用してはいけません。
意外にゆるい?自己破産申請時の提出書類
自己破産の申立てをする際、実際に裁判所へ提出する申立書は弁護士事務所で作成してもらえます。といっても、それは弁護士に委任していることが大前提ですが、自己破産に踏み切るには債権者に通達が行くわけですし、督促を止めてもらうにも弁護士を介入させるのが一般的でしょう。
申立てに必要な書類については、もちろん本人が用意するわけですが、意外にゆるいと感じたのが家計簿です。これは、裁判所(判事)や弁護士事務所によって多少の違いはあるとは思いますが、割とざっくりしています。
家計簿とは家計費に無駄がないかどうか調査するもので、申立てをする直近3ヶ月間の収支を記載したものです。私が申立てしたときは、あらかじめ支給された用紙に記入しました。
内容については家賃、食費、光熱費、娯楽費、被服費、美容室の費用など生活にかかる一般的な費用や税金の支払いが中心ですが、領収書などの添付が必要なのは光熱費程度。その他の出費や収入については自己申告です。
「正確に申告しないとまずいんじゃないか?」
と考えて納税した額などを丁寧に書こうとしましたが、記入欄がいちじるしく狭くあまり細かく書くことはできません。記入方法を質問すると
「ざっくりでいいですよ」
との回答でした。これには、拍子抜けしましたね。
ただし、すべての口座の通帳を提出しなければならないので、どちらかといえば家計簿より通帳の記録が重視されるという感じです。私は家計収入に対して唯一美容室代だけはやや高めの料金でしたが、これについてはまったく何も言われません。裁判所からかなり厳しく追求されたのは宝くじの購入や株式の売買でした。
自己破産というと、どうしてもギャンブルという印象のようです。私の場合は借入のほとんどが銀行や信用金庫で事業性の融資。破産の理由も取引先の倒産によるものですが、それでももっとも追求された部分はギャンブルでした・・・。
宝くじを買うようになったのは返済が負担になったからで
「まがり間違って一攫千金で一括返済できないか?」
というもの。購入金額も月にして1000円程度です。株についてはNISA口座のミニ株で数万円程度の出資ですし、ときどき2〜3万程度儲けては食費に充てていました。
この2つに関しては金額も金額ですし、株は結果的に儲けが出ていたので最終的には問題になりませんでしたが、何となくピントがおかしいという印象を受けたのでした。
免責を受けて意外だった事実
自己破産は裁判所から免責許可が下りればすべての借金が免除されます。
ただし、税金は例外であり、免除されることはありません。
私は自己破産の申し立てをした当時、取引先の事情から過去3年分にわたって申告の更正をするはめになりました。その際、記入ミスが発見されて追徴課税を受けたのですが(税務署も申告時はまったく気づかなかったらしい)、よりにもよってもっとも収入が少ないどん底の時期に払うことになったのです。
しかし、世帯収入が従来の4分の1以下になった状況で、収入が良かったときの税金を一括で払えるわけがありません。事情を話して分割払いをしばらく続けましたが、それもままならなくなり、納税が滞ってしまうこともありました。
その結果、免責が決まったときには世帯で100万円を余裕で超える税金が滞納したままになりました。ただし、税金の遅延金は年利14%を超えるため、実は半分近くは遅延金という恐ろしいものでしたが・・・。
免責決定がなされたとき、800万円ほどの借金が消えたわけですが、100万円を超えるほどの税金が残りました。もちろん、免責になるまで再三督促は来ていましたし、差し押さえの警告が来るたびに本来必要なものを削っていくらか支払う、そしてその度納税課に事情を話す(ときには高圧的な態度を取られる)という繰り返して本当に大変でしたね。
もちろん、夫も仕事が入ったときには優先的に払ってくれていましたが、何しろ遅延金が高い。ですから、免責を受けたといっても
「税金を払うことを考えなければ」
そう考えると肩の荷がすべておりたという感覚はありませんでした。
ところが!
裁判所で免責許可が下りたことが役所に通達されると、免責決定以前の私名義の税金は「停止」になったのです!これは意外で驚きました。もちろん、免責決定以降の税金は納税義務が継続します。結果的に60万円以上が「執行停止」となり、残りは今年の春に無事納めることができました。
女性というだけで受けた屈辱
「債務整理をした方がいいかもしれない」
「もう無理かもしれない」
そう初めに思ったのは今から8年ほど前だったかと思います。
それまでは金銭に困った経験がまったくなかった私は、固定費(携帯電話料金、その他)や衣服などのショッピング代など毎月8〜10万円をクレジットカード払いにしていました。目的は一本化してポイントを集めるというだけです。別にお金に困ってのカード利用ではありません。なので、毎月一括で使った分だけ全額払っていました。
ところが、リーマンショックの影響で仕事が減ったまま戻らない生活が続いたことで、
「一時的に支払額を抑えよう」
とリボ払いに切り替えたことが仇となりました。もちろん、ショッピングなどの利用は極力抑えたものの、それでも固定費をリボ払いにしているので元金は減らないわけです・・・・。
しかも、一時的と考えていたのに一向に景気は回復しません。
その少し前に、初めて銀行から融資を受けたこともあり、クレジットカード2枚分の支払いも併せてすでにきついなあと感じ始めていました。ただ、これらの利用のほとんどは夫婦二人で利用したものです。つまり生活費と事業用の借り入れ。
ところが、初めて債務整理の相談に訪れたとき、若い女性弁護士はこう言い放ったのです。
「奥さん、こんなに浪費して、これ返せますか?」
は?返済が大変だから債務整理の相談に来ているんですが!
しかも、事業融資のことも話しているのに、完全に
「夫に内緒でショッピングなどの浪費で借金した主婦」扱いなんです。
夫に内緒ではなく話し合って融資を受けるなどしているのに、
●クレジットカードの利用がある
●既婚女性である(事業主というワードはスルー)
というだけでイメージを作っていることに腹が立ちました。
後から知ったことですが、この時の女性弁護士は新人で、勉強のために女性向けの債務整理相談を受けていたらしいですね。まだ本当に若い子でした。私が最終的に代理人を依頼したのも女性弁護士でしたが、事務所自体が堅実なところで実績はありますし、本質をきちんと見てくれる人でした。あの決めつけと上から目線の態度は本当に屈辱でしたね。
弁護士といってもピンキリです。また、それぞれに得意分野がありますし、すべての弁護士が自分の案件を得意としているわけではありません。相談してみて、ものごとを細かく見ようとする目を持っていない人や知らないことを前向きに勉強しようと考えてくれない弁護士には依頼しないほうが賢明です。
法テラスを利用すると、1つの案件に対して3人まで無料で弁護士に相談できます。初めの弁護士に違和感を感じたら次の相談では違う弁護士を紹介してもらいましょう。
官報に載って困ったこととは?
裁判所を通して債務整理を行うと、その事実が官報に掲載されます。官報は裁判所の近くなど取り扱っている書店自体がそもそも少なく、読む人も限られています。一応ネットでも見ることは可能ですが、よほど関心を寄せる人でもなけれな見ることはありません。
私は自己破産の申し立てをし、免責許可が出てから1年近く経ちます。恐らく官報にはとっくに掲載されているでしょうが、それによって困ったことは今のところ皆無です。まあ、もしかしたら誰か知人の中で見た人はいるかもしれませんが、何か影響することもなく平和に過ごしています。
そうそう、免責許可決定後に一回だけ妙なDMが届きました。DMといっても普通の茶封筒で、差出人名はありません。見るからに怪しいのですが、面白いので開封してみると、闇金でした!(笑)
「へ〜〜、こういうのが来るんだね」
と笑いながら破いて捨てました。それくらいですね。
ただ、どうしても困ったことは、賃貸物件を借りにくいことでしょうか?といっても、自己破産者や免責決定が出た人が賃貸物件を借りられないというわけではありません。問題は保証会社を通す物件の場合です。信用情報に破産申立ての事実が記録されているわけですから、その記録が残る限り保証協会も利用できないことになります。
自宅を手放すなどどうしても賃貸物件への引っ越しが必要なときは、申立てをする前に契約しておくことです。もしくは、連帯保証人を確保して保証人で契約可能な物件を探しましょう。
私が債務整理を決意した理由
債務整理を決意する直前の返済額は月額15万円ほどだったかと思います。住宅ローンや自動車ローンは含まれない額です。
普通の家庭であればあり得ない金額でしょうが、私は個人事業主であり、毎月収入が固定されているわけではありません。この金額はまったく返せない額ということでもなく、2〜3年ほどはこのペースで返済を続けていました。
ところが、消費税8%になったのをきっかけに取引先が大きく傾き(最終的には事業撤退)、入っていた仕事がキャンセルになるなど、生活費もままならなくなってきました。
もっともまずいことは、「返済のために新たに借りる」ということを何度かやってしまったことです。
「返さなければ!」
という思いが強く、どんどん冷静な判断ができなくなっていたのでしょう。あるとき気づくと借りられる金融機関がなくなっていたのです。
期日通りの返済が難しくなり、金融機関に電話をして事情を話し、待ってもらうことも増えました。
しかも、家賃や公共料金などの支払いもままなりません・・・・。
そんなとき、落ち着いてクレジットカードの明細を見て計算し、驚いたのは、かなりの利息を支払っているということでした。
銀行の融資の他に不足分として利用していたカードローンも見てみました。恐ろしいことに、リボ払いや低額での返済(これは実際には利息を払い続けるだけで元金は減らないというカラクリがあります)を続けているうち、元金と変わらない額の利息をすでに払っていたことに気づいたのです。
同時に
「何やってるんだろう?」
「もう、十分払ったじゃないか」
と少し気分が楽になったのを覚えています。
幸い、銀行からの融資は2口ほど完済していたということもあり、弁護士への相談を決意したのです。
残っていたのはクレジットカード(ショッピングとキャッシング)2社、カードローン2社、他に銀行の融資が1口だったと思います。
仕事の激減、借入ができなくなる、という2つの条件がほぼ同時期に起こったことで自分が抱えている借金を見直し、利息の膨大さに気づいたことが債務整理に踏み切るきっかけになったのです。
免責してから実際に困ったこと
2019年にやっと免責許可決定がなされました。債務整理を決めるだけでも相当迷いましたし、自己破産に踏み切るには本当に悩みました。しかし、今はよかったと思っています。
自己破産者はローンが組めない、職業が制限されるなどさまざまなリスクがともないます。そのため、踏み切れない人は多いかもしれません。仕事で制限されるのは、次のような職業です。
○弁護士
○司法書士
○税理士
○弁理士
○質屋、古物商など
ただし、「自己破産者」とは自己破産の申し立てをしてから裁判所の許可が下りるまでの間だけを指すもので、実際に免責許可決定が出れば自己破産者とはいいません。信用情報機関に金融事故(この場合は自己破産を申し立てした事実)が記録されるだけで、許可が下りれば普通の人になります。
厳密にいえば、信用情報機関から記録が消えるまで(私の場合は5年間という説明を受けています)ローンは組めませんしクレジットカードの新規契約もできません。しかし、職業の制限はないため、不便なのは一時的ということになります。
クレジットカードについては、自己破産の申し立て以前にバカらしくなってしまい、当時からデビットカードに切り替えてしまいました。VISAやJCBといった国際ブランドのついたデビットカードならクレジットカードと同じように使えます。
もちろん分割払いはほぼできませんが、口座から引き落とされるため返って楽になりました。ショッピング保険やキャッシュバックサービスを設けている銀行も多く、お得に使っています。信用情報機関から記録が消えても、二度とクレジットカードは持たないでしょう。
そんな私が不便に感じたことが2つだけあります。それは、引っ越しと光回線の契約でした。数年ぶりの引っ越しで驚いたのは、契約の条件として保証会社の審査と加入が加わったことです。以前のように、引っ越したい物件を自由に選ぶことができず、「保証会社ではなく連帯保証人をつける」タイプの物件からしか探せません。しかも、保証人タイプの物件が圧倒的に少なく、引っ越しには本当に苦労しました。保証人探しも以前より大変でした。
そして、意外な落とし穴だったのは光回線です。引っ越しを決めた時期がちょうど更新月だったことで、以前から使ってみたい光回線に変えようと解約。2万5000円ほど浮きました。ところが、引っ越し先で新規契約をしようと思っても、ほとんどがクレジットカードでの契約なのです。
公共料金や携帯料金の支払いではデビットカードで対応できるものはたくさんありますし、口座振替も問題はありません。なので同じように考えていました。ところが、カード番号を入力するとはじかれてしまいます。口座振替の選択肢はないというのも驚きです。ネットがないと仕事にならないため、もう愕然としました。
最終的に光回線はdocomo光でやっと契約できました。住んでいる地域で利用可能な回線であり、さらに口座振替に対応しているのがdocomo光しかなかったのです。でも、感謝しています。